もう我慢ばっかしてらんないよ
言いたいことは言わなくちゃ
夢にまで見たような世界は
争いもなく平和な日常
「Rolling star」/YUI
「気持ち的にはおーよそ第四百回ぐらい。今日の直江もおもしろかったな会議――」 「ようやく今日、直江と弁当を食うというお百度参りの祈りが通じたわけだが、もし、もしもだ。たとえば今後、直江がウチに来るなんてビックサプライズがあったら、茶菓子とか大丈夫か?」 「直江っておやつに何食べるのかなぁ? 寺でしょう? よーかんとかないよー? なんとなくイメージ的に、スナック菓子は嫌そうな気がするし……なんかあった? 高耶」 「ば……」 「……ば?」 「……ば?」 「(ぎこちなく目をそらしつつ)……バナナあった」 「……」 「……」 「……」 「おっ、おかしくない! 健全な高校生の家にバナナの鎮座は、ぜんっぜん! ぜんっぜん、不自然なことじゃないぞ、高耶!」 「大丈夫。やましくない。やましいことなんてなんにもない。ほかに捧げるおやつなんてウチんなかにはなんにもないだろう? だから、いっしょにあいつが、直江が、口いっぱいにアレを頬張るところを正面からちゃんと見よう、見よう、見まくろ――!」 「そっ、そーだよなっ! バナナは手軽にカロリー摂取できる最高のおやつだよなっ! まるごと串焼きして出しても不自然じゃねぇ。そして砂糖かけてうっすらこげ目つけて、ちょっと色つけた焼きバナナをやらしくなめながら言うんだよ、直江が。『甘いですね』、とか――」 「感無量だ。そんな直江に会えるなら、地獄の門番殺しまくって帰ってくるぜオレは。じゃあおやつはいいとして、飲み物は?」 「あー、だめだな、うち。いま麦茶と牛乳しかねぇ……」 「……牛乳?」 「ああ、牛乳……」 「……」 「……」 「……」 「いやいやいやいやっ! 牛乳もぜんっぜん! ぜんっぜん、おかしくなかった!」 「そそそそそうだ! 牛乳は健康にいーよなっ! フツーの高校生男子がぐんぐん成長するためにウチにあるんだもんなっ。べつにあいつの唇にべっとりこびりつくしろいのが見たいとか露ほども思ってねーよ」 「ああ、ほかになにも出せないなんて直江! 体が震えるくらい悲しいよ! だから早く露まみれになっててらてらしてる直江のあそこが見たい」 「だいたいあんな汚れキャラいねぇよ。頭をワラジの底でぐりぐり踏まれて虐げられながらググッとにらんで頭をあげようとする直江とか最高にヨかった」 「なにそれ! オレもいかがわしい直江の夢が見たい! 一人SMしてる直江とか」 「今日、不能直江」 「うん。ナイス怪談」 「仰木はちゃんとさっきの授業起きてたのか?」 「あたりまえだ。光合成する直江っていうのは、オレたちが吐いた息を最後の一息まで吸い込み、同じだけの量を返してくれるんだろう? 午後の日差しを浴びながら、寝っころがって、安らかに吐息と吐息の交換をするオレたち。そして夜ともなるとあいつの出す毒で熱く息苦しい触手プレイに及ぶオレたち。言うなれば、そんなあいつは、昼は淑女で夜は娼婦!」 「すげえ! 交わろう、直江!」 「うひゃー! オレだけのアマテラス!」 「あいつんちってさ〜、カルピスを牛乳で割ってそうだよな」 「濃い――! むちゃくちゃ濃い――!」 「そんなに濃いのが好きなのか、直江。ふっ、さすがオレたちが見込んだ男だ。ついでに一度、飲むときちょっとむせてみてほしい」 「胡椒でも入れとく?」 「ちょっとねまらせたのを出すか? 外出しといて」 「つまづいたひょうしに頭からぶっかけるとかありか?」 「あいつの顔にしろいの……綺麗な髪にしろいの……」 「変態変態!」 「とか言いつつ笑ってる口はなんだ!」 「だってー。オレ、ビジュアルにこだわるポニーテールだしー」 「いいんだよ、愛があれば。オレたちの家訓ではいいことになっている」 「ウチにさえ来させりゃ密室だ。なにがあったって外にはバレやしねぇ。邪魔者は潰す。犯罪は隠蔽する。千秋は興味ないからほっとく」 「だから、故意じゃないのかもしれなかった。ほんとうは」 「家を掃除しよう。あのウチを、直江が来ていい家にする。そして<裏直江>を為そう! なあ?」 「おお!」 「ええ!」 「おい、微妙な小ネタしてる三バカ、そこになおれ」 「あ、千秋?」 「そこになおえ?」 「どこに直江……? って、いねえ!」 「おーい、ナオモーン!」 「旦那ならさっき、吐きそうな顔して出てったぞ」 「なに――っ!」 「酸っぱい牛乳だ! 酸っぱい牛乳持ってこ――い!!」 「直江っ、ひっひっふーだぞ、ひっひっふ――!」 「……ちげぇよ」 ……という感じで、今日も直江町はにぎにぎしくまわっております。(アドガキより) |
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